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コミュニケーションで悩む方々へ
 コミュニケーションが下手と思い悩む来院者が、想像以上に多いのには驚かされます。
人前で緊張しやすいタイプ(対人恐怖傾向の強い人、かつての私も重症の対人恐怖症で
随分と悩みました)の人の場合は別の手立てが必要な場合もありますが、そうではない人
の場合が圧倒的に多いのに気づかされます。私よりもはるかに言葉による表現能力が高い
人が多いと思われます。しかし、彼らや彼女たちが悩むように、確かにコミュニケーション
の上手でない人が多いのも事実です。なぜか?その疑問に対して以下に簡単に述べてみたい
と思います。コミュニケーションの本質に関わる事柄です。
 ① まず、聞き上手の能力に問題のある場合が多いこと。傾聴という言葉を私の同業者も
   よく口にしますが、ただ聞くだけでは意味はほとんどありません。相手を何とか理解
   したいと思う気持ちとさらに何とか理解しようという積極性がなければ、コミュニケー
   は成立しません。話し上手よりも聞き上手が重要です。
 ② 言葉で表現されることも大事ですが、目の動きや身振り手振りなどの非言語的な表現
   をよく観察することがより重要であることを意識しなければなりません。どんな情報も
   逃さないという態度で相手に接する必要があります。
 ③ 昔のある防人の兵士が故郷の妻に伝えたといわれる「おせん泣かすな馬肥やせ」、
   ローマ皇帝のジュリアス・シーザーの言葉「賽は投げられた」、「ブルータスお前もか」
   などは万感の想いを簡潔に表現した傑作です。(興味のある方は調べてみるのも一興と
   思います)できるだけ短くて簡潔な言語的表現が、コミュニケーション成功の鍵となる
   ことが多いと認識しておいた方がよいでしょう。冗長な文章はコミュニケーション成立の
   妨げになる場合が多いですね。
 ④ 言葉による表現の場合、語彙の多さは、望ましいが必須条件ではありません。
 ⑤ 最後に、コミュニケーションの成否の要諦は、どのような相手であろうと、尊敬の気持ち
   を込めて、伝えるべきことを伝える真剣さが要求されるということです。「言うは易く、
   行うは難し」ですが、世に出回るコミュニケーション技術の方法は貴重な時間や金銭の
   無駄使いと知るべしです。日常の絶え間ない訓練の繰り返しが、コミュニケーション上手
   への近道で王道と認識すべきです。
  

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