コラム欄login 薬の副作用について 私は他の医師よりも、精神神経用剤(向精神薬)については、敏感な方だ と思います。私自身が過去にアカシジア(静座不能症)や薬剤性パーキンソン 症状群などの副作用で苦しんだことも関係していると思われます。 現代のように薬の副作用が問題視される以前は、まず効果と有害事象(副作用)との間のバランスの取れた薬剤の種類自体が少なかったことも関連しますが、患者さんに副作用に目をつぶってもらうことを良しとすることもやむを得ない場合が多かったと反省させられます。しかし、これらの不幸な出来事を、日常的に見聞きすることが決して少なくありません。 副作用で苦しむことがないように、私は日常診療で注意を心がけています。よほどの例外的な事情がない限り、副作用の懸念のある薬剤の種類や投与量には気を配ります。薬物療法は治療法としては、避けがたい場合が多いのすが、副作用のために治療中断となることは極力避ける必要があります。 副作用が心配な時には、主治医にためらわずに相談しましょう。十分に納得のゆく回答がなければどうするか、結論は自明ではありますが、考えてみてください。薬剤に対して不信感があれば、薬の効果自体も半減します。 私のクリニックに来る患者さんの大部分の方は、服薬に心理的な抵抗感を持っています。当然のことと思われますが、副作用のない適切な薬物の投与が必要な場合の多いことは、厳然たる事実でもあります。身体的な健康の維持に必要な食事と同様に、精神の健康維持に必要な薬の服用は欠かせないことに留意しましょう。 薬を飲み始めると、一生にわたり飲み続けなければならないと、心配する方たちが多いのですが、そのような薬は極く限られています。